top of page

チコちゃんも時にはボーッとしている。

番組で指ポキの原因を取り上げていた。

指ポキの原因は30年前から知っていた。機械工学でキャビテーションと言われる現象だ。キャビティーとは空洞のこと。液体が現状の温度に対する蒸気圧以下の圧力になると蒸発して泡ができる。泡が流れてその場の圧力が上がると泡がつぶれる。

番組の泡がはじけるから、は不適切な表現だ。泡がはじけるのは自由表面で起きる現象だ。泡が自由表面に達すると、ドーム状の膜が形成されそれがはじける。はじけても大きな音は出ない。表面張力に相当する圧力差しかないからだ。

液体中で泡がつぶれるから音が出る。中心に向かって移動する流体がお互いにぶつかって急に止められるので圧力が生じる。物体の表面近くで泡がつぶれると、圧力場の不均一から物体に向かうジェットが作られ、長い間に金属を損なう。エロージョンなどと言われポンプやスクリューで発生する。

船底の下で魚雷が爆発するとやはり泡ができる。その泡で船は一旦持ち上げられ、次に泡がつぶれるときジェットが船体を損傷させる。韓国の哨戒艦が二つに折れて沈没した原因だ。ちょうどハワイからの帰り、KALに乗ったら新聞がおいてあって非科学的救助のイラストが書いてあった。ダイバーが菅を船体に差し込む画だ。新聞記者は物理に弱いのか。これを最後に韓国系の利用はやめた。

​H2ロケットが連続して失敗した原因もキャビテーションと判明している。

美浜原子力発電所で作業員が蒸気を浴びて死亡した事故もオリフィス下流のキャビテーションによって配管の肉が薄くなったためらしい。

北海道電力の泊原発のタービン室を見学したとき係の人に”美浜はここですか”と聞くと”はいそうです”と即座に返事が返ってきた。不完全な文章に即答するのは強い共通認識があるからだ。

​はいそうですは日本製鋼室蘭を訪ねたときにも経験した。案内の人に”長崎のはここですか”と聞くと直ちに、”はいそうです”と返事が帰ってきた。三菱長崎でタービンシャフトが割れ、数人の死者が出たのだが、そのシャフトは室蘭製作所製だった。あの事故の後製造工程が改善された。

​ついでにこの案内氏に聞いた室蘭ネタを一つ。東条英機が室蘭製作所を訪問した時、入門を拒否された。翌年訪ねた時には迎え入れられた。どうしてか。答え 始めは陸軍大臣だったが翌年、総理大臣になったから。室蘭製作所は海軍の艦砲を作る工場だった。

ついでに不適切。

ワイドショーは不適切が多い。文系のキャスターに理系の話は理解できないだろう。扱う分野が広いからあらゆることを理解できないのは仕方がない。揚げ足取りはできないな。私にキャスターは務まらないので。

bottom of page